【レポート】ぶっちゃけ経済産業省って何してんの?−地方創生、起業支援、中小企業支援、海外展開支援に取り組む省庁の職員の方と語る−

 こんにちは!さとラボのミートアップ運営事務局の望月です。
長かった梅雨が明けいよいよ夏休みが始まった時期だと思いますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

 2019年7月31日(水)、経済産業省本館「未来対話ルーム」にて「ぶっちゃけ経済産業省って何してんの?−地方創生、起業支援、中小企業支援、海外展開支援に取り組む省庁の職員の方と語る−」が開催されました。地方創生や行政の取り組みに関心ある学生が平日の夕方を使って霞が関に集まりました。

 ところでみなさん、“経済産業省”と聞いて「どんな活動をしているのか」「どのような人が働いているのか」を具体的にイメージするのってなかなか難しいのではないでしょうか?

ネットで調べて「民間の経済活力の向上及び対外経済関係の円滑な発展を中心とする経済及び産業の発展並びに鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保を図ることを任務とする」(経済産業省設置法第3条)という説明を読むだけでは正直よくわかない部分も多いのではないかと思います・・・。

そこで今回のミートアップでは、経済産業省の活動や地方創生における取り組みを職員の方から直接聞くことで、経済産業省への知識や理解を深め、今後の活動で経済産業省をはじめとした行政機関と連携するためのきっかけづくりを目的として開催いたしました。

経済産業省9年目の職員 八木春香さんから経済産業省の概要をお話しいただき、その後は参加者同士のワークショップ、交流会という流れで開催されました。今回は当日の様子をお伝えすべく、イベントレポートをお届けします!

1 経済産業省ってぶっちゃけどんなところ?

 では、実際に経済産業省ってどんな所なのでしょうか?
 今回、説明をしてくださったのは、経済産業省9年目、現在は大臣官房秘書課課長補佐で、新卒・中途の採用担当して活躍する八木春香さん。八木さんは自動車産業政策や、イノベーション政策、ダイバーシティ政策など、幅広い政策立案に携わったことがあるほか、他昨年、株式会社メルカリ・メルペイでの8ヶ月の経営現場研修を修了なさったということで、より多角的な視点から経済産業省についての説明をしてくださいました。

参考記事:【寄稿】経済産業省職員がメルカリ・メルペイへの派遣で学んだこと
https://merpoli.mercari.com/entry/2019/04/16/070000

今後の日本ってどうなる…?

 まずはじめに、八木さんより「日本って豊かだと思うか?また、今後の日本も豊かであり続けるのだろうか?」という問いが投げかけられました。

そもそも「豊かさ」とは何か。生活に困らないお金があること、みんなが健康でいられること、食べ物や電気が普通に手に入ること…など考えられることは様々。それらの豊かさを日本は今後も保ち続けることはできるのだろうか?そこで、八木さんは今後の日本を財政とGDPの観点から「課題先進国」と指摘されました。少子高齢化で支出(社会保障費)が増大する一方で、稼ぎ(GDP)は停滞する…。
八木さん曰く、この課題に対してより幅広い分野からアプローチするのが経済産業省である、とのことでした。

 

経済産業省の3本柱

  次に、「国富の拡大」をミッションに掲げる経済産業省の概要についての説明がありました。

「経済産業省は、いまの当たり前の豊かさを未来に繋げるために、国としてお金を稼ぐことがミッション。そのための仕組み作りをしている。このままではうまくいかない世の中を、なんとか変えようとしている、変えてナンボの精神の省庁。

具体的には、未来の日本を豊かにするべく、主に「産業政策/通商・貿易/資源・エネルギー」の3本柱によるアプローチをしている。特に、産業政策に関しては、地方創生・人工知能・IoT・ヘルスケア・コンテンツ・中小企業などの事業を幅広くカバーしながら、現代のニーズに即した立案をできるよう努めている。

行政機関だからこそ、中長期的な目線では、法律・予算・税・条約・国家プロジェクトなどあらゆる政策ツールを総動員してアプローチでき、社会の仕組み自体を変えることができる。」

 

一言で言うと…?

これらの説明の最後に、八木さんは経済産業省を「霞ヶ関のベンチャー」と表現されました。「今までにない」を牽引する点で、まさにベンチャー企業のような存在である、と。そして、若い職員が主役となり、新しい課題に取り組む「個」を磨く点もベンチャー的要素の一つ。その他の特徴としては、以下のような点を挙げられました。

・コンサルティングに終わらず、実際に世の中を変えていく「実現主義」
・国内外・官民を超えたネットワーク
・幅広い分野の中で、どのようなキャリアを描くかは貴方次第(ベンチャー振興、産学連携…etc)

以上を受けて私は、このベンチャー的要素という点が、経済産業省を民間企業や国民にとってより身近な存在にしているのではないかと考えました。それにしても「霞ヶ関のベンチャー」ってキャッチーですよね。

 

2  経済産業省×地方創生の取り組みって具体的に?

首都圏人口集中と人口減少地域増加の傾向

では、経済産業省による地方創生の取り組みとはどのようなものなのでしょうか?八木さんはまず、日本の人口推移という観点から話を始められました。

「日本の総人口は、今後100年間でおよそ7000万人ほど減少し、これを地域にクローズアップしてみると、2050年には全国の約半数の地域で人口が50%減少する。

昔人口が多かった時は、人が分散して住んでいてもそれぞれの地域で社会が成り立っていたが、人口が少なくなるとみんな便利さを求めて東京に来るようになった。」

つまり、「東京への人口集中と人口減少地域の増加」を地方創生に関連した基礎的な課題として挙げられました。

 

地域中核企業支援政策

 上記の課題に対する、経済産業省としての取り組みとして八木さんは以下のように説明してくださりました。

「経済産業省としては、地域の実情を踏まえた、地域の自立的発展を促進する施策を立てて対策している。地域経済の発展は「『稼ぐ力』の強化」や「他の地域からお金を持ってくる」ことで成り立つから、その地域を牽引する中核となる企業の存在が非常に重要である。

そのため、経済産業省は更なる成長や波及効果が期待でき、地域経済を牽引する担い手となりうる企業を見極めて応援すべく、「地域中核企業支援政策」を掲げている。具体的には、「地域未来投資促進法」により、地方の取り組みを支援している。

地方の各自治体は、「地域の特色を活かしてこんな事業分野を推進していきたいんです!」といった感じで計画書を国に提出する。かつては中央政府が一方的に支援対象を決めていた面があったが、現在では自分の地域をよく理解している自治体自身が計画を作ることで、より良いその町独自の特性が活かされるプランになった。

また、「地域未来投資促進法」を活用し、全国で幅広く地域経済を牽引する事業が展開されるよう、ビッグデータや自治体の推薦を踏まえ、「地域未来牽引企業」を選定・公表している。

選ばれた企業には証明書が発行され、その企業の信頼向上に繋がるため、企業側としてはお金を借りやすくなったり、優秀な人材をリクルートしやすくなったりと様々なメリットがあると考えている。

経済産業省としてはこれらの地域未来牽引企業に対して、選定企業への個別訪問・情報提供・要望への対応など徹底した支援を通じて、積極的な取り組みの後押しをしている。

そして経産省に続いて自治体が、自治体に続いて企業が、というように、その地域をさまざまなステークホルダーが支援する輪が動き出すようになるシステム作りを目指しており、このような仕組みこそ「地方創生」ではないかと考えている。」

八木さんの話からも分かるように、経済産業省は、行政ならではのリソースを用いて自治体・支援機関等の多くの機関を巻き込みながら、地域の自発的な取り組みの促進に努めているんですね。

まさに地方創生をサポートする「霞ヶ関のベンチャー」!

 

3 学生が経済産業省にプロジェクト提案!

 続いて、八木さんの説明を受けて感想のシェアをした後、実際に「地方創生×経済産業省」という文脈でアイディア提案をしよう!というワークショップが行われました。各グループごとに制限時間内に1つプロジェクトを決定し発表するという内容で、最後には八木さんからのフィードバックをいただきました。ここでは、各班から出た案を簡単にご紹介したいと思います!

①「家業を継ぐ学生のコミュニティ」
 <アイディア考案のきっかけ>
家族経営の際に、家業をつぐ学び方を教えてもらう場があっても良いのではないか。

② 「移住のきっかけを作る自然との触れ合い企画」
<アイディア考案のきっかけ>
中核になる企業がない又は自治体が上手く機能していないといったリソースが不足している地域が移住を促すには、ほかの行政機関と連携したイベントなど、機会の創出が必要ではないか。

③「対国内or海外に分けた政策!〜イベント開催や自治体支援〜」
<アイディア考案のきっかけ>
地方創生の課題として、地方の後継者問題やインフラ問題、首都圏集中問題がある。そこで、対海外と対国内に分けて施策を考えることで、それぞれのニーズにあった課題解決へのアプローチが可能になるのではないか。

④「専門的なコミュニティを繋ぐプラットフォーム〜起業家の支援インフラ整備〜」
<アイディア考案のきっかけ>
起業を目指す人にとっての障壁は、環境・資金・人脈の面で分類される。そこで、専門家同士をつなぐ場を作り、インフラにおける共同支援を促すことでより効率的な課題解決を目指すと良いのではないか。

 

4 最後に…

初めての行政機関とのコラボ企画ということで開催された今回のミートアップ。いかがでしたでしょうか?参加者の方は、イベントの参加前後で経済産業省に対するイメージに以下のような変化があったとお聞きしました。

<イベント参加前>
・かたいお役所的な印象
・高学歴重視をしている
・様々な分野での政策立案をしている

<イベント参加後>
・フレンドリーで親しみやすい
・ベンチャー精神と実行力を併せ持つ組織
・地域にわざわざ赴くなど柔軟かつ積極的に活動している

実際に参加後の自由交流会の時間では、聞き足りなかったことを積極的に八木さんに話を聞きに行く学生参加者の姿が印象的でした。また、グループワークでは、学生ならではの視点を生かしたアイディアが飛び交う一方、経済産業省の職員からの現実的なフィードバックをもらい、さらなる刺激を受けている様子でした。

今回参加してみて、また新たな地方との関わり方を学び、学生として何ができるかを考えさせられました。そしてさとラボ運営事務局として今後も、ほかの行政機関や地方企業との連携企画も見据えてさらに「さとラボ」を盛り上げていこう!と感じました。八木さんはじめ、会場提供をしてくださった経済産業省の方々に深く感謝します。ありがとうございました。

 

お知らせ

【8/23開催】地域の課題のとらえ方と、本質的な課題解決って?さとラボMeetup vol.6
〈開催概要〉
日時:8月23日(金)17:00-19:00
場所:UB 1Table(https://ub1table.jp/)
東京都渋谷区渋谷1-2-5 MFPR渋谷ビルB1
参加者対象者:地域活性化に取り組みたい高校生、大学生。
参加費:学生無料 (学生証の提示が必要です)
    社会人1000円(※限定10名)
申し込み:https://satolabo07.peatix.com/view
主催:さとラボ

 

【8/30開催予定】さとラボ福岡ゆるミートアップ
〈開催概要〉
日時:8月30日(金)19:00-21:00
(※日程は変更になる可能性があります)
場所:ibb fukuoka 3F セミナールーム
福岡県福岡市中央区天神2丁目3−36
参加者対象者:地域活性化に興味がある高校生・大学生
参加費:無料
主催:さとラボ

 

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