「新時代の教育の最前線を走る」英進館株式会社| #ミライロ仕事図鑑

「福岡商工会議所NEWS(福岡商工会議所会報誌)」のコンテンツ「ミライロしごと図鑑」では、
“次世代学生が成長企業を取材し、自分が将来活躍するフィールドを探しにいく”
をテーマに、「福岡」という枠組みに囚われず、面白い取り組みに挑戦する企業の社長を紹介しています。

私たちNPO法人学生ネットワークWANは、この「ミライロしごと図鑑」の取材・記事執筆を担当しており、
本メディアでは、インタビュー内容と共に、会報誌にはおさまらなかった写真と、インタビューを通して学生が得た気づきを紹介します!

第12回目となる今回(会報誌3月号)は、英進館株式会社の代表取締役社長 筒井俊英さんを取材しました!

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今月の取材先:英進館株式会社とは?

福岡県・熊本県・佐賀県・長崎県・大分県・宮崎県・鹿児島県で展開し、九州トップクラスの合格実績を誇る学習塾。
中学・高校・大学受験の指導のほか、衛星予備校や個別指導、公開テスト、講演会などを行っている。

今回取材に協力していただいた方)英進館株式会社 代表取締役社長 筒井俊英さん

「新時代の教育の最前線を走る」英進館株式会社

ー 筒井社長は教育に対して熱い想いをお持ちですが、そのエネルギーの源は何ですか?

学生の頃は、医者や建築家になることを考えていた時期もあり、最初から「絶対に教育に関わる仕事をしよう」と思っていたわけではありませんでした。ですが、新卒で親の会社である英進館に入社し、生徒指導をする中で目にしたのは、学校帰りで疲れているであろう子供たちが、元気に塾にやってくる姿でした。

小学校 5・6 年生の小さな子供ですが、第一志望校合格に向け子供ながらにひたむきに努力します。その姿を見ていると、入試を通して「子供たちに成功体験を味わわせてあげたい」、「合格して嬉し涙を流させたい」、「悔し涙は絶対に流させない」と思います。そう思うとどうしても熱くなります。私が教育に対して熱い想いを抱くようになったきっかけは、子供達のひたむきな姿を目の当たりにしたことです。

ー 筒井社長はなぜ英進館就職後に九州大学を再受験されたのでしょうか?

好きで建築系の学部に進んだにもかかわらず、在学中、新たに法律に強く興味を持ったので、建築士の資格を諦めて司法試験一本にしぼり必死に勉強しました。しかし大学 4 年生の時に受けた司法試験の結果は不合格。結局、大学卒業後は親がつくった英進館で働くこととなりました。

入社後は日々真剣に子供たちと向き合い、充実感ややりがいを感じながら生徒指導に励みました。ただ、子供たちの一生懸命な姿を毎日目にしていると、次第に私は教えること以外、世間のことを何も知らない、このままでいいのか?と自問するようになりました。

そして、目の前の子供たちと同様、私自身ももう一度何か新たなことにチャレンジしたい!という強い気持ちを抑えきれず、医学部への挑戦を決めました。

ー 学生の時からエネルギーに満ち溢れていたのですね。ところで近年少子化が進み、子供の数が減っていますが、その点についてはどうお考えですか。

この30 年で子供の数は既に半分に減っています。そのため教育業界では、30 年間ずっと少子化の影響が懸念されてきました。そして今、日本はついに、子供の数だけでなく総人口も減少に転じることになりました。これまでは教育業界だけが少子化を心配していたわけですが、大人の数も減っている今、どんな仕事に就くにせよ、日本のマーケットにおいては総人口の減少が必ず問題となってきます。

英進館は昨年創立40 周年を迎えましたが、このように少子化が続く中、実は前年の売り上げを下回ったことは一度もありません。塾は売り上げと生徒数が綺麗に比例しますので、少子化の中で順調に生徒の数を増やしているということです。

ー 少子化の中、どのように成長してきたのですか?

最大の要因は合格実績です。我々は売上・規模・合格実績あらゆる面において、九州地区の中で、圧倒的シェアを誇っています。日本全国、地域ごとに、ナンバーワンの実績を持つ塾があると思うのですが、我々のシェアは二番手と圧倒的に差があります。県立高校・私立高校・私立中学の全合格実績で圧倒的に高いシェアを持っている塾は他にはほぼありません。さらに、全国最難関の灘高校の実績は、関西の拠点を持っていないにもかかわらず、5 年連続ナンバーワンです。九州の地方の塾ですが、これらの実績によって関西や関東でも非常に知名度があるので、転勤族の方にも英進館をよく知っていただいていることが強みです。

二点目は縦の展開です。もともと小学生・中学生部門から発展していきましたので、10 年ほど前までは、高校生部門の生徒数は300 名程度だったのですが、現在は6000人以上の生徒が在籍しています。加えて、従来の小学生部門は中学受験を考えている小学校高学年が中心でしたが、低学年の指導や幼児教育も始めたので、それまでは来なかった幼稚園
や小学校低学年の子が来るようになりました。

三点目に横の展開です。もともとは福岡だけの地元の塾だったのですが、今は九州各県に校舎があります。そして8年前に本州・広島、さらに4 年前にはシンガポールと、初の海外展開も果たしました。また関西で実績ナンバーワンの医学部専門予備校ともグループ化しました。このように英進館は九州以外にも展開をしていますが、横の展開で大事なのは、やはり合格実績です。合格実績があれば、地方から都市圏への進出というハンディがある場合でも、関東・関西に出て行って知名度やブランド力で引けを取ることはありません。

そして、この教育業界最大の合格実績を上げることができているのは、生徒達が真剣に学ぶ環境を提供することができているからだと自負しています。

ー 多くの生徒が志望校に合格できるよう特に工夫されていることはありますか?

生身の教師による熱い授業はそのままに、最近では生徒一人ひとりにタブレットを渡したり、電子黒板などを使ったりして授業をより魅力的にすることに取り組んでいます。教育業界に初めてITを導入したのが東進衛星予備校で、全国に映像授業を発信しています。

現在英進館では、高校生部門にその東進衛星を、中高生部門には「すらら」というAIを搭載した学習システムを導入しています。生徒に授業をする上で一番重要なのは、魅力的な授業をすることですが、塾に行くのはせいぜい週に2・3回です。だから、塾に行かない日も家でしっかり復習をしているかということが非常に大切です。

「すらら」の良いところはログインをしないと宿題ができないので、生徒が何月何日何時から何時まで宿題をしたのかということが記録され、次の授業に来た時には、先生が家庭学習の成果をすべて把握しているということです。つまり、休みの日でも常に先生に見られているという良い緊張感が続きます。ITならではの学習スタイルですね。他にも授業の小テストや高校入試の平均点数・ボーダー点数予想などにもITを利用して、効率的・魅力的な学びを実現しています。

ー センター試験や就活など、今後の教育の変化にどのように対応していきますか?

先ほどもお話ししたように、元々福岡だけだったエリアを少しずつ広げています。急速な拡大は考えていませんが、今後もこの横の展開は続ける予定です。また、現在、学校の先生は勤務時間が長いとか、雑務が多く授業の準備をする時間がないといった問題が深刻になってきています。

そのため、最近は教育委員会や学校から塾に教育の依頼が増え、昔は皆無だった学校教育の支援を行うようになりました。たとえば、小・中学校の先生の代わりに英進館の教師が授業を行ったり、学校単位で先生全員が集まり、魅力的な授業の仕方や生徒のモチベーションを上げる方法を共有したりしています。学校や教育委員会と協力することによって、より良い教育の実現を今後も目指していきます。

ー 英進館さんは、受験を控える生徒のために時代にあった最良の教育を行い続けているからこそ、圧倒的な合格実績を出すことができるのですね。筒井社長、貴重なお話をありがとうございました!

学生インタビュアーの感想

今回インタビューに参加した大穂莉子さん(西南学院大学1年生)

初めてインタビューに参加させていただき、私自身にも身近な存在であった英進館の筒井社長にお話をお聞きしました。全国的に有名な英進館さんですが、主に九州の企業であることに驚きました。インタビューでは、地方の塾であった英進館さんが現在まで大きく成長した理由について聞くことができました。
沢山お聞きした中で印象深いものは、縦と横の広がりです。小学生から大学受験まで一貫して対応することで縦を広げ、灘高校の合格率一位を始めとする実績により本州や海外にも教室を増やす横の広がりを実現したそうです。
とても有名な企業である英進館さんがいかにして成長していったのか筒井社長とお話して学ぶことができました。私は大学で経営学を学んでいるので、社長の方から直接お話を聞ける機会を頂き、とても良い経験になりました。

WANメンバー 園田映美音さん(九州大学1年生)

今回取材を通して、現代の教育について広い視野で考えることができました。英進館さんは一企業として売り上げを伸ばすのはもちろん、自らが持つノウハウやサービスを通して日本社会に貢献している点が興味深かったです。AIなどのテクノロジーを生かした教育が少子化や人手不足の解消に役立っていたり、英進館さんによる教育支援が学校教育を変えていたり、英進館さんの役割は「塾」という枠組みにとどまらないのだということがわかりました。また、実際にお話を伺う中で筒井社長の教育に対する熱い思いに心を動かされました。筒井社長は「子供達のひたむきな姿」がエネルギーの源であるとおっしゃっていましたが、私自身も塾でアルバイトをする中で、生徒が必死に勉強する姿を見て「一生懸命教えなければ」という気持ちになります。教育は子供たちの人生を変えうるものなので、今後広い視野を持って教育にかかわっていきたいと思います。

筒井社長、貴重なお話をありがとうございました!

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