【ミライロ仕事図鑑】イデアパートナーズ株式会社

「福岡商工会議所NEWS(福岡商工会議所会報誌)」のコンテンツ「ミライロしごと図鑑」では、
“次世代学生が成長企業を取材し、自分が将来活躍するフィールドを探しにいく”
をテーマに、「福岡」という枠組みに囚われず、面白い取り組みに挑戦する企業の社長を紹介しています。

私たちNPO法人学生ネットワークWANは、この「ミライロしごと図鑑」の取材・記事執筆を担当しており、本メディアでは、会報誌にはおさまらなかった写真と、インタビューを通して学生が得た気づきを紹介します!

第11回目となる今回(会報誌2月号)は、イデアパートナーズ株式会社の代表取締役 井手修身さんを取材しました!

今月の取材先:イデアパートナーズ株式会社って?

今回取材に伺ったイデアパートナーズ株式会社の事業内容は、
1.集客・交流サービス
2.特産品開発・販路拡大
3.施設の再生・立ち上げ
4.人材育成・組織活性
です。
イデアパートナーズ株式会社 HPより。)

代表取締役の井手さんは、どうせなら、東京ではなく福岡にあって、九州をフィールドにする企業にしよう、と創業されたそうです。

オフィスには、たくさんのポスターやチラシが!
体験バスチケットや、バルウォークなど、街で見覚えのあるものばかり!
イデアパートナーズさんが、どれほど私たちの街を盛り上げてくれているのか、ということがわかります。

お話を伺ったのは、イデアパートナーズ株式会社 代表取締役 井手修身さんです!

井手修身さん
イデアパートナーズ株式会社 代表取締役  NPO法人イデア九州・アジア 理事長
観光・まちづくりの総合プロデューサー、イノベーションを起こす「地域活性化の伝道師」

「井手さんのことをもっと知りたい!」という方はこちら

「『フィールド九州』で、ゼロから1を創りたい」

ー起業されたきっかけを教えてください。
私の選択にはいつも、ルーツがあります。皆さんも進学や就職にあたって、選択の機会があったと思います。その選択には、判断基準がありますよね。そして、その判断基準にも何らかのきっかけがあるはずなのです。
私の場合は、大学時代に入っていた人形劇サークルでした。建築学科だったのですが、サークルで舞台監督や演出家、脚本家などをしている間に、自分が本当にやりたい事は、「ゼロから 1 をつくり出すこと」や、「自分がワクワクできること」、「チームで何か作ること」だと気がついたのです。だとしたらそのような仕事がしたいと思ったのですが、同時に、建築学科の延長にその仕事は無いと感じるようになりました。当時、インターネットは今ほど普及していなかったので、就職活動をするにも自分なりに情報を見つけるしかありませんでした。そんな中、『リクルートの奇跡』という一冊の本に出会いました。当時のリクルートは、今でいうベンチャー企業のような会社だったのですが、その本を読んだのをきっかけに、そこで働きたいと思ったのです。そうして働き始めたのですが、入社 3 年目で政財界に大激震を与えたリクルート事件が起きました。私が担当していた不動産のプロジェクトはストップしてしまい社内失業状態に、会社の中で半年間仕事ができない状態になったのです。でも、これからどうしよう、となった時に先輩が、「給料も時間ももらってラッキーやん。この機会を存分に使おう」と声をかけてくれたのです。そこで私は様々な企業の社長にヒアリングをして、多くの人と接点を自分でつくるようになりました。一度失ったからこそ、「仕事は、自分で生み出せる可能性があるものだ」と分かったのです。逆転の発想だったと言えるのかもしれません。

ー地域に根付いたビジネスをはじめたのは、なぜですか?
私は熊本の南阿蘇村出身で、次第に地域のことをやりたいなと思うようになりました。そこで、入社して10 年が経った頃に新規事業開発部を立ち上げることにしました。リクルートの持つ人材など様々なものを使って地域の課題を解決する、という地域活性事業です。しかしリクルートでは「期待できる利益は見込めない」と5年で廃部になってしまい、20 人くらいいたメンバーがバラバラの部署に異動することになりました。私は当時、福岡で九州支社の責任者をしていたのですが、「自分がやりたいことや、自分に求められることって何だろう」と考えた時に「自分の会社を作って、地域活性の仕事をビジネスとしてやってみたい」と思ったのです。そうして 14 年前に起こしたのが、イデアパートナーズ株式会社です。私たちの仕事は、地域の資源を活用して地域に根付いた経済活動を行うことができる仕組みをつくることです。 様々な自治体や企業と組んで「新しいこと」を生み出し、経済活動を行う仕組みをつくります。物販や観光、宿泊、小売事業、人材誘致など様々な手段があります。最近よく耳にする、リノベーションした空き家を活用する活動も行いました。そのようなことを企画して実際に行い、地域間競争に勝ち抜ける地方を創生しています。また、フィールドを九州に置くことにこだわっています。交通の便がいいなどの理由から福岡に拠点を置いていますが、どうせなら東京ではなく、九州にあって九州のことを仕事にする「フィールド九州」の会社をやりたいと思っています。
9年前にNPO法人を立ち上げて、福岡のまちを楽しむ「屋台きっぷ」、「福岡体験ハコチケット」の商品を開発しました。また、九州の猪、鹿肉「ジビエ」料理の飲食店「情熱の千鳥足カルネ」を現在経営しています。

ー地域の課題は何だと思いますか?
様々な問題がありますが、やはり一番大きな問題は人口減少と高齢化だと思います。今の学生が大人になった時には、働き手が減り、日本の経済活動が機能しなくなってしまうことが予想されているのです。どの自治体も人口問題対策で総合戦略を策定しました。第一に新たな雇用を生み出し、第二に Uターンや Iターンなどの人の流れを作ります。そして第三、第四に、新しい世代が出産し子供を育てやすい環境や安心安全なまちづくりを行います。私たちがフォーカスしてるのは、第一・二戦略の「新たな雇用を生み出し、地方への人の流れをつくる」ということです。経済活動を生み出すことで、人の流れを作っています。しかし、人口減少と高齢化という課題は解決できていないのが現状です。 日本経済が機能していくひとつの方策として、外国人材の受け入れがあります。外国人材を労働力としてではなく、生活者として受け入れることが不可欠です。そこで現在、九州でいち早く外国人を受け入れることができる仕組みを作る活動も始めています。

ーまちづくりに大切なことは何ですか?
観光のまちづくりには、多様な人々の関わりが不可欠です。行政や関連の事業者ももちろん必要ですが、今まで観光に全く関係ないと思われていた住民や団体こそ、観光のまちづくりにとって、無くてはならない存在です。なぜかというと、住みたいと思うのは住民自身だからです。住んで良し、訪れて良しのまちづくりには、その住民たちの誇り(シビックプライド)無しには成り立ちません。主役はあくまで地域の方々で、私たちはサポーターです。地域の人と活動する時には必ず、自分たちが一番やりたいことに気づき、計画してもらうようにしています。私たちは、何かやってみたいという「場」(プラットフォーム)をつくるだけです。老若男女を問わず多様な人が活躍できるような「場」づくりを心がけています。行政と観光事業者と住民、この3つをつなぎ合わせる事が私たちの役割です。

ー企画運営されている福岡バルウォークは、2018 年 11月に15 回目を迎えられましたね。イベントを成功させる為に心がけていることはありますか?
もともと、バルウォークというイベントは北海道函館市で行われていて、それを是非福岡でやりたいとスタッフの一人が言いました。企画する時に大切にしているのは、自分自身が行きたいと思うかどうか。それは、会社全体でも同じで、スタッフ一人ひとりの感性を大切にしています。徹底しているのは、「やり方をパクるな、本物を徹底的に模倣しなさい」ということ。3 年ほどで終わってしまうイベントと、ずっと続くイベントには、決定的な差があります。それは、継続できる本質を理解しているかどうか、ということです。バルのイベントで言えば、主役が飲食店だということ。飲食店が自主性を持っていれば、バルに参加するお店が切磋琢磨して、お客様をもてなしてくれます。私たち事務局はそれをサポートする役割です。

ー人と人を繋ぐイデアパートナーズは、市民一人ひとりが地域に誇りを持った地域活性化事業にとって、欠かせない存在だと感じました。自分の感性や直感を大切にして、地域に貢献できるような仕事ができる大人になりたいです。
井手代表、貴重なお話をありがとうございました!

学生インタビュアーより。

ここからは、井手さんのインタビューを通して学生が得た気づきを紹介します。

WANコアメンバー 髙田 理世 (西南学院大学 2年)

私は、今回の取材を、本当に楽しみにしていました。なぜなら私の目標は、「自分の大好きな町に貢献できる人材となること」だからです。

まず、井手さんがされているお仕事で最も印象に残ったのは、最近力を入れ始めているという、外国人移住者の受け入れ事業です。日本はどんどん人口が減っていて、あと何十年かすると国として機能できなくなる、と言われています。しかし私たち国民はいまだにその自覚がとても薄く、どこか外国人移住に対して抵抗する雰囲気があります。国外からの人の流れがない限り、日本は機能しなくなるというのにも関わらず、その体制が整っていないのです。異国から移り住んだ人が日本で生活しやすい環境を作っていくには、制度面でも精神的ケアの面でも、見直すべき事はまだまだたくさんあります。しかし、それは私たちが大好きな日本という国に住み続けるためにも不可欠なことです。私たち一人一人が、協力して取り組んでいかないといけないことだと強く感じました。

井手さんのお話を聞いていると、仕事に抱いていらっしゃる想いが本当に熱いということが伝わってきました。なぜそれほどに熱いのかというと、井手さん自身がしていて楽しいと感じることを仕事にしていらっしゃるからです。井手さんは、その「自分が一番楽しいと感じること」を、大学生時代の部活を通して見つけたとおっしゃっていました。一生懸命勉強して入った大学であっても、実際に入ってみると自分のしたいことではなかったと感じている学生は多いと思います。でも、大学は義務教育ではありません。自分の大学生活を退屈だと感じているならば、単位を取る為だけに時間を費やすのではなく、大学の勉強以外のことに本気で取り組むべきだ、と強く感じました。受験時代に染みついてしまった、辛いことを我慢して続けなければならないという観念を捨て、辛いことがあっても乗り越えていけるくらい、「好き」「楽しい」と言えるものを見つけていきたいなと思いました。

また、井手さんの元で働いている社員の方々を、とてもかっこいいと感じました。それは、井手さんが心から社員を信頼されており、社員の方々は、自分で仕事を作り出していらっしゃるからです。偶然、大学の先輩がいらっしゃったのですが、なんと、イデアパートナーズ初の新卒採用だったのです。それまで井手さんは新卒採用をするつもりはなかったそうですが、とても熱い想いを持っていることに期待し採用を決めたそうです。入社してまだ数年しか経っていないのに、既に先輩社員の方々と同様、自分で仕事を作り、大活躍されているのだそう。大手企業ばかりに目がいきがちですが、就活サイトに掲載していない企業は沢山あります。企業を探す前に、まず、自分がどんな風に働きたいのか、働くということを自分の人生でどう位置付けたいのかを、しっかり考えていきたいなと感じました。

WANコアメンバー 川井田 健斗 (西南学院大学 2年)

今回はカメラマンとして取材に同行しましたが、改めて考えてみると、普段関わることのできない「社長」という立場の方のお話を聞くことができ、本当に貴重な体験となりました。

その話の中で、最も印象に残ったのは、「観光の街」づくりについてのお話です。井手さんは地域の資源を活用して、地域に根付いた活動を行うプラットフォームを作る仕事をしているとおっしゃっていました。例えば、その地で有名なものと、その他の地方の観光地が組む「場」を提供することで、「九州」全体を盛り上げていく。こういった仕組みによって、地域はどんどん活性化されていくということがわかりました。

最近私は、大学の国際交流を推進する団体で活動を始めました。そこでは、英語を話したいけれど話す機会がないという人のために「場」を提供しています。最近徐々に国際交流に挑戦する人が増えていると感じます。これは、井手さんのお話しされていた「プラットフォーム」作りに通じるものがあると思います。私も井手さんのように、「場」を提供し、あとは本人達に主体性を持たせていく、という仕組みを、これから構想していきたいと思います。

取材の様子

ここでは、会報誌にはおさまらなかった写真をご紹介します!

最後に。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!
井手さん、本当に、ありがとうございました!!!!

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