【社長直撃インタビュー!】株式会社アイ・ビー・ビー 廣田社長にお話を伺いました。

NPO学生ネットワークWANでは毎月、福岡という枠組みに囚われずに面白い取り組みに挑戦する企業の社長さんに直接取材を行っています。

3回目となる今回(会報誌7月号)は、福岡のインキュベーション事業のパイオニア、株式会社アイ・ビー・ビー 代表取締役 廣田稔さんを取材させていただきました!福岡商工会議所の会報誌にも「ミライロしごと図鑑」の名前で連載されています。本メディアでは学生向けのキャリアや働き方についてのお話と、学生インタビュアーの感想をご紹介します。

目次

    1. 株式会社アイ・ビー・ビー 廣田社長のプロフィール
  1. 時代が変わったときに生まれた企業が、今の世の中を支えている。
  2. しっかりとした理念が、時代の先を行くアイデアを生む。
  3. どんな苦労があったとしても、諦めずに継続すること。
  4. 「これだけは人に負けない!」強みを見つけ、磨いていく。
  5. 学生インタビュアーの感想とプロフィール

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1.株式会社アイ・ビー・ビー 廣田社長のプロフィール


写真1:株式会社アイ・ビー・ビー 代表取締役 廣田稔氏

1963年、福岡に生まれる。大学時代はテニス部に所属。大学卒業後、証券会社に入社し、金融・証券業界を経験。その後福岡に戻り、父親の経営する不動産会社、廣田商事株式会社に入社。父親の死をきっかけに代表取締役就任後1年で、新プロジェクト、「ibb fukuoka project」(輝きつづけるまち・福岡創造プロジェクト)を立ち上げた。上場ベンチャー企業向けのオフィス「ibb fukuoka」ビルをはじめとして、自社不動産を活かしたインキュベーション事業を行い、2009年に株式会社アイ・ビー・ビーを設立。「輝きつづけるまち・福岡の思い在る創造。」を企業理念に、ネットワーク&アライアンスを駆使した、ひとと企業の可能性を開花させるためのサポート、クライアントの独自性を大切にした受託・運営のサポートなど、フレキシブルな発想によるオーダーメイド感覚のビジネスを行う。

株式会社アイ・ビー・ビーについて知りたい方はこちら。→企業ホームページ:http://www.ibb-fukuoka.com/

写真2:長い歴史を持つ廣田商事株式会社。

2.時代が変わったときに生まれた企業が、今の世の中を支えている。

なぜ不動産の事業を行っている企業が、インキュベーション事業を始めたのでしょうか?

私は福岡の大学を卒業後8年ほど証券会社に勤め、30歳くらいで福岡に戻って来ました。その3、4年後の1999年、父が癌で亡くなりました。それと時期を同じくして、所有していたビルが全部空っぽになってしまいました。なぜかというと、90年代の前半で栄えたバブルが崩壊しどんどん景気が悪くなっていた時期だったからです。これからの日本がどうなるかを、誰もが懸念していたのが90年代後半です。当時は、「江戸時代末の開国や、第2次世界大戦終結の後と同じくらい大きな改革が為されなければ、これからの日本は駄目になってしまうのではないか」とも言われていました。

父が亡くなると、会社のことを自分の判断でしなければならないわけですよね。我々不動産業は、ビルの入居者からいただく賃料が大きな収入源になります。これまでも、時代が変わったときに企業が生まれ、それが今の世の中を支えている。自分は少しですが証券の知識があったので、「あのビルを、これから福岡とか日本を背負っていける企業が生まれていく、スタートの場所にできないか。」と考えました。そうしてスタートしたのが、このインキュベーション事業なんです。今でこそインキュベーション事業と言ってますけど、当時はそういう言葉もない。自治体や行政がやっているところは当時もあったけれども、民間がやっているところなんてほとんどありません。その中で新しい企業を育てる場所として作っていこうとしたんです。

3.しっかりとした理念が、時代の先を行くアイデアを生む。

ものすごく大きな決断をされたのですね。廣田社長は、「決断」とどのように向き合っていますか。

今でも続けているのですが、企業で働きながら奉仕活動や社会貢献活動を行い、自分を磨いていく、という活動をやったんです。それまでの私は、思考の中心が自分にあって、福岡や世界のことをそんなに考えてなかったんですよね。それが、奉仕活動や社会貢献活動を通して海外に行ったり、色んな人と話をしたりすることによって、「内から外を見る思考回路」から「外から内を見る思考回路」に変わっていったんです。世界の中の日本ってどんな国で、どこがよくてどこが足りないのか、日本の中の福岡ってどんな立ち位置なのか。そんなことを考える中で、「私はずっと福岡に住むことになる。では、その福岡の街をより良くするにはどうしたらいいだろうか。」と考え出しました。どんどん人口が減ったり、街が衰退して過疎するような街だったら、いくら立派なものを建てても誰も借りる人がいないので、商売は難しいですよね。我々不動産業は、街が発展して初めて成り立つ。だからこそやっぱり、不動産事業を通して街の発展に貢献することが大事なのではないか、と。

そしてそれを、企業理念として改めて明文化し、会社の方向性や軸を固めていきました。理念をしっかり固めていくと、どんなに大きな判断でも、「理念にどう通じているか」「理念とどうリンクしていくのか」が判断材料になっていくのです。インキュベーション事業も、不動産事業も、全て理念が前提にあります。例えば10年ちょっと前、保育園が入っているマンションを作ったんです。当時は保育園が併設されている賃貸マンションなんてありませんでした。福岡の街を女性が活躍していく街にしたい。であればマンションの中に保育園を作って、子どもを預けて仕事に行きやすい環境を作れないか、と。こんなことも、理念がはっきりしていると判断しやすいんです。

理念があるからこそ、時代の一歩先を行くアイデアが生まれてくるのですね。

ところで、女性の活躍を応援されている印象がありますが、いかがでしょうか。

社内の女性の比率を上げているというより、今の仕事の内容的に、自然と女性の雇用が増えました。
女性は、納得して一度やると決めると、きめ細やかに取り組んでいく能力に長けていると思うのですよ。仕事においては、いかに好きになってもらうかが大切だと考えています。やはり、一度好きになると、とことん頑張ってくれる方が多いです。

では、仕事を好きになってもらうために心掛けていることはありますか?

プロセスから関わってもらうことです。「こういう風に決めたからこれやってね」ではなく、ゼロから企画して、実際にアクションを起こす、過程の段階からしっかり関わってもらう。これが大事だと思います。過程をしっかり分かっていると、アクションするときも、納得してやってくれます。やはり、いかにそれを好きになってもらうか、納得してもらうかですよね。新しい企画やプログラムを作る時は、必ず最初の話し合いの段階から私の横で話を聞いてもらいます。そうするとその後、色々なアクションにうつるときも、一生懸命に意見を出してくれるのです。

好きになってもらうことで活発に動いてもらう、ということですね。

そうです。スタートがうまくいくと、どんどんやってくれますね。人間には他燃型と自燃型と、不燃型があると言われています。自燃型は、どんな仕事でも、自分から気づいて自分からアクションしていく人。会社というのは、やっぱりそういう人がたくさんいた方がいいので、男女に限らず、いかに社員の人ちに、自燃型の人間になってもらうかだと思います。だから先程言ったように、過程を見せることによって好きになってもらって、みんなに自燃型のタイプになってもらう。それが大切だと思っています。

写真3:インタビュー風景

4.どんな苦労があったとしても、諦めずに継続すること。

色んな起業家の方と接される中で、成功する人に共通点はありますか?

起業する時、誰もが「このような事業を通して、世の中のこういうことを解決していくために起業します」と言って始めます。数えられないくらい、そのような人と出会って来ました。しかし少し躓いてしまったくらいで諦めてしまう人は、大成できません。本当に会社を伸ばしていく人は、どんな苦労があったとしても乗り越えていきます。最初に「これだ!」と思ったことを、諦めずに継続できるかどうか。言い尽くされたようなことではあるけれども、最終的にはそれが一番大切なことだと感じます。

5.「これだけは人に負けない!」強みを見つけ、磨いていく。

学生時代、これだけはやっておいたほうがいいということはありますか。

就活するときには、絶対その答えを持っておかなければならないのですが、「これだけは人に負けない!」という自分の強みを見つけること。社会に出て行くと、いろんな人たちに出会って、いろんな所に行って、いろんな人たちと話したりしていかないといけない。そうするとやはり、気後れしてしまうこともあるかと思います。でもその時に、これだけは人に負けない、というものを持っていると、それが自分の自信になってくれます。だから学生である今、強みを見つけ、磨いていってほしい、と思います。

6.地方には、たくさんのチャンスが眠っている

福岡を拠点に、起業家やIPO企業を支援されていますが、今の福岡をどのように見られていますか。

起業の点で言うと、スタートアップとかで盛り上がってて、いま福岡は全国の中でもかなり起業が活発な地域です。会社を起こしていく環境としてはすごくいいかなと思います。ほとんどの企業が関東や東京中心です。そうすると、東京に行ったとしても埋もれてしまいますよね。同じことやってる人がいっぱいいるから。地方は会社の数も少ないから、大事にしてもらったり、脚光を浴びやすかったりと、地方にいる方が有利になっていくことって意外といっぱいあるんですね。うちのやっているセミナーに参加する、大分の上場会社の社長も同じことを言っています。「地方にいるからこそ、色々な情報が集まり色々な人が協力してくれる。だから地方にいる。」と。

そのようにして地方にも、上場している企業がたくさんあります。こんなに良い企業がたくさんあるのに、なぜ学生さんは行かないのかなと感じます。会社の規模が小さく、説明会をするのが難しいといった問題もあるかもしれません。しかし、優良な企業がたくさん眠っているのです。就活の際そのような会社に目を向けてみるというのは、すごくいいと思いますよ。

7.学生インタビュアーの感想

地方の就職は難しいと思い込んでいましたが、実はたくさんのチャンスがあると知りました。先入観にとらわれない就職活動に繋がりそうです。もっと多くの学生にその事実を知ってもらえいたいですね.

また、 「志を持ち、その実現のためにはどんな苦労があっても諦めない」。その姿勢こそが時代の一歩先を行くアイデアを生む、ということがわかりました。何かに一生懸命になって、それを自信にできる、そんな充実した学生生活にしたいと強く思いました。

廣田社長、大変お忙しい中、貴重なお話をしてくださり本当にありがとうございました!

執筆:NPO法人学生ネットワークWAN 髙田理世(たかたりよ)(西南学院大学2年 大学生活の目標は全大陸上陸!趣味は食べることと踊ること。)

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写真4:廣田社長との記念撮影

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