【ミライロしごと図鑑】株式会社岡野

この度、福岡商工会議所とNPO法人学生ネットワークWANがコラボし、福岡商工会議所会報誌の新コンテンツを制作することになりました!

その名も「ミライロしごと図鑑」!!

次世代を担う学生が福岡という枠組みに囚われずに面白い取り組みに挑戦する企業を取材し、会報誌の記事を作成します。
また、会報誌とこの「ガクログ」は連動しており、本メディアでは会報誌にはおさまらなかった写真、学生向けのキャリアや働き方についての話をご覧頂けます。
記念すべき第1回目(会報誌4月号)は、株式会社岡野さんを取材しました!

今月の取材先:「株式会社岡野」 とは?

今年、設立から121周年目を迎える博多織の織元。現在は着物全般のアイテムを取り扱っており、多段階流通が多い業界の中で、初めて製造と小売を自社で一貫させる。昨年は六本木ヒルズとGANZA SIXに店をオープン。777年の歴史をもつ、伝統工芸品「博多織」を世界のハイブランドとして提供することに挑戦している。
今回取材に協力して頂いた方) 株式会社岡野 代表取締役社長 岡野博人さん

【「儲かる」ではなく、「成り立つ」に挑戦する。】

最初は東京で起業した岡野社長。当時は赤字続きだった「株式会社岡野」を継ぐ、キャリアのきっかけとなったものは何でしょうか?

大学生のとき、少しだけ経済学と経営学を学んだのですが、その時使った教科書に会社の目的は「利潤の追求」と書いてあったことを信じて、「世の中に出て儲かればいい、利益が出ればいい」と思いながら、起業して事業を行っていました。
しかし、やっているうちに、「本当に利益の追求をすることだけが経営なのかな?」と疑問を感じるようになりました。

そんな中ある日、職人の父親に「ずっと赤字続きで廃業せざるを得ない」という話をされたとき、「赤字だから、倒産するんだよね。仕方ないよね。」と私は当たり前のように答えたんですよね。それに対して父は、「でも、長年続いた伝統は儲からなくても誰かに残していかなきゃいけないものだよ。赤字だけど、成り立てばいいじゃん。」と話しました。
このとき、「成り立つ」と「儲ける」という感覚は似ているが違うのだと、はっと気づきました。

今世界に存在しているベンチャー企業は長くて設立30年くらいです。
一方で、世界で一番古い会社は日本にある「金剛組」という会社で、飛鳥時代から1600年続いています。実は、設立から200年以上経つ会社は、ほぼ日本にしかないんです。
少し話は変わるのですが、ダウ平均株価って知っていますか?
ダウ平均株価とは、米国の平均株価指数です。1896年にダウ・ジョーンズ社が、当時米国を代表する12社(現在は30銘柄)を選定し、平均株価を算出・公表しました。この選出された12社は<成長持続性が今後も見込まれる超優良企業>とみなされていました。
当時選ばれた会社の中で現在、何社残っていると思いますか?
実は一社しか残っていないんです。
(※残った一社は、ゼネラル・エレクトリック社を指す。2018年現在も選出されているが、除外されていた時期もあった。)

このことから、短期スパンで儲かることを重視する今の資本主義経済の理論にのっとったやり方だと「会社は長く続かないもの」だとわかりました。
とはいえ、その経済の仕組みが本当に良いものなのか疑問でした。
資本主義のシステムによって、日本の伝統的な文化が「古臭い・なくなってもいい」ものとして扱われている現実があったからです。
父親の言葉をきっかけに、みんなが守ってきた「伝統文化」というものを自分も守ってみようかなと思うようになりました。

それから、自分が持っている東京の会社を売却して、そのお金を軍資金にし、株式会社岡野にて事業を開始しました。
ただこれまで岡野がやってきた博多織の製造や売り方ではやっていけないので超有名なブランドであるエルメスやルイ・ヴィトンなどを例に、今あるブランドはなぜ生き残れたのかを徹底的に調べました。
実は彼らも、もともとはフランスの伝統工芸で一度か二度はつぶれそうになっています。
しかし、這い上がって今の地位を確立しました。
エルメスを例にすると、最初はフランスの伝統工芸である馬具のメーカーでした。
しかし、車が普及してから売れなくなります。だから、エルメスは自分達のもっていた鞍(馬の上の座るときに使用するもの)を縫う技術を使って「オータクロア」とバッグをつくりました。それが、たまたま世界で評価されて、今のエルメスになっています。
彼らを素直に真似して、世界の需要に応えながらハイブランド化していくことが、日本の伝統工芸が生き残る方法だと考え、「博多織」を世界のハイブランドとして提供することに挑戦しています。

旅行は先に目的地を決めて、一番近くまで行く交通手段を探しますよね。就職活動もそれと一緒です。

社長として、様々な社員を見てきた岡野さんにとって、学生に伝えたい生きていく上で大切なことはなんですか?

人は、気づかせてあげる環境を与えると自ら育つものです。
それが仕事であっても仕事にでなくてもいいと思っています。
仕事より人生のほうが明らかに大事です。
人生と仕事がイコールになっている人も中にはいます。
大切なことは、その人が人生をどう生きるかを真剣に考えることです。

就活生はどう生きるかという目線ではなく、どこに就職するかの目線になりがちですね。

そうですね。就活の時期って、一番マインドコントロールされやすい時期ですね。
生まれてから大学までは言わば決まった川の流れにどう乗るかという話で、速い人もいればゆっくりな人もいましたよね。
そして最終的に、流れに身を任せるだけでよかった川は海に着き、自分で漕ぐ、すなわち自分で生きていかなければなりません。
しかし海(社会)では自分でエンジンを持たないと押し戻されてしまいます。

そのような状態の中で、いかだもあれば豪華客船、軍艦といった、たくさんの船(企業)の中から選び乗ることができます。
大学生になると、どれに乗るかをみんな選ぼうとしますよね。
僕は「他人の作った船は信用できない」と自分でつくってしまいますが(笑)
そういう人もいていいですし、乗るのもOKです。

大事なことは「その船がどこに行くか」です。
船は目的地に行くための単なる乗り物です。
しかし、「大きいしかっこいいからとりあえず飛び乗ってみたけど、これどこに行くんですか?」というように、目先のことしか考えていない人が多いような気がするんです。
旅行は先に目的地決めて、一番近くまで行く交通手段を探しますよね。それと一緒です。

とはいえ、、大きな船には安心感がありますよね。
いざ乗って、例えばエンジン整備室を任されたとしましょう。
そこで10年間ずっと働いて暮らします。
しかし、太平洋の真ん中で、「ごめん。定員オーバーだから小舟に乗って降りてくれ」といきなり言われると、その人は海図すら読む技術が身についていなくて苦労してしまうんです。

それが、以前起きたリストラの問題です。
この問題は、そういう社会システムに乗ってしまった人にも責任はあるし、大量生産を促した国にも責任があります。
僕は、そういった社会システムを常に俯瞰して見ています。
社会の全体を俯瞰的に見る・目先だけでなく、人生をどう生きるかを真剣に考えることが必要なのではないでしょうか。

確かに、自分の人生をどう生きたいか と考えず、「ひとまず就職活動を乗り越えよう。」と目先のこと囚われがちかもしれません。
人生の縦軸と現在の社会基盤の横軸の両方を長く広い目線で見ることの大切さに気づきました。岡野社長、ありがとうございました!

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