【ミライロしごと図鑑】株式会社グランドビジョン

次世代を担う学生が福岡という枠組みに囚われずに面白い取り組みに挑戦する企業を取材し、福岡商工会議所の会報誌の記事を作成する企画「ミライロしごと図鑑」

本メディアでは会報誌にはおさまらなかった写真、学生向けのキャリアや働き方についての話をご覧頂けます。

2回目となる今回(会報誌5月号)は、株式会社グランドビジョンさんを取材しました!

今月の取材先:株式会社 グランドビジョンとは?

事業プロデュースによるコンサルを主軸に、企業や商品のブランディング、採用プロデュース、webマーケティング、映像制作、コールセンターなどさまざまな角度から、クライアントの事業成長を支援する、福岡のみならず東京、関西エリアの企業も手掛けるベンチャー企業。
加えて、「福岡の歴史や文化に触れる」をテーマに、エンターテインメントを発信するイベント「空海劇場」の企画など自社プロジェクトを積極的に行っている。

今回取材に協力して頂いた方)株式会社グランドビジョン
代表取締役社長兼プロデューサー 中尾賢一郎さん

本質的な課題解決のために、相手の課題が何なのか、いかにその本質を見出すか、見出せるかが大事。

長いこと広告業界に携わってきた中尾さんですが、どのような想いを持って仕事をしているのでしょうか。

はじめはコピーライターやCM撮影のアシスタントからスタートし、入社した電通九州ではプランナー、プロデューサーを経て、かれこれ広告業界は20年以上になります。大きい組織を経験し業界の移り行く様も見てきてしました。
そこでふと考えたこと、それは、広告が好きでずっと広告に携わってきましたが、果たして、私は何のためにやってるのだろう、ということ。それに対して出た答えは、「お客様の笑顔の為」です。

今では、スマートフォンに多くの広告手段が存在するように、広告1つといえど様々なサービスがある時代です。ですから、お客様が自社の商品を売りたいというニーズに対して、必ずしも同業種や過去実績と同じ方法である必要はないですし、私は広告を売っている、というわけではありません。

グランドビジョンには「21世紀に最も必要とされる真のパートナー企業へ」というビジョンがあります。変わりゆく時代の中で、パートナーのあり方を追及したいのです。真のパートナーでありたいのなら、本質的な課題解決をするべきで、相手の課題が何なのか、いかにしてその本質を見出すか、見出せるのか、を常々考えています。広告しかしない会社には広告しかお願いしないですよね。だから私はクライアントの事業発展や課題解決のために、代理業に加えて、事業プロデュース業を行ってきました。そうすると相談内容も多岐にわたり、本質的な課題解決に近づきます。 HPの内容を変えるとか、人事担当のオペレーションを変えるとか、組織体制を変えるとか、必要であれば、そこで広告もご提案もさせていただきます。

マルチな事業内容をされているのですね。

今では、教育関係とか化粧品、ハウスメーカー、様々な企業がある中で一緒に商品開発をするなど、事業領域は多岐にわたっています。グランドビジョンは、なんでもやるわけではなくマーケティングや企業や商品のブランディングなど、ある程度絞って、クライアントの課題解決をしています。一言でマーケティングと言っても、通販番組の制作の担当もいればwebの担当もいますし、ブランディングに精通した担当もいて、様々な役割があるわけです。弊社は決して大きい組織ではないですが、だからこそセクションを越えて会議に参加したり自由に意見が言えたりする風土があります。

社内では日々業務に取り組むなかで最も大切に思う事柄を理念として掲げた「志十訓」や「感謝五訓」があるそうですね。

「志十訓」や「感謝五訓」が書いてあるカードを私も社員も毎朝唱和しています。
同じ方向に向かっていくときに価値観ってすごく大事で、私は、理念やビジョンをみんなに語ることを大切にしています。
朝礼が終われば、自己管理の中で自由な働き方を推奨しています。

自由な働き方といえば在宅勤務など導入されていますね。

会社で働くのであれば貢献してもらいたいけれど、必ずしも貢献の形=出社ではないと思います。例えば、子どもとの時間を大切にしたいとか様々な要望はできるだけ尊重したいですね。働き方や、オフィスの環境など、従来型の会社形態である必要はないと思っています。

例えば自社プロジェクトで「空海劇場」の企画を続けられていますね。

3回目までは赤字だったのですが、それでも続けてきたのは、使命感から。例えば伝統芸能って、国境を越えた素晴らしい観光資源にも関わらず意外と日本人は知らないと思います。歴史についても、福岡には空海が最初に建てたお寺があるけどどれほどの人が知っているでしょう。

空海はそれこそマルチな人で私はイノベーターととらえています。うどんやひらがなも、難しい経典をアートにした曼荼羅も空海が日本に伝えたといわれていて現在も残っています。今消えずに残っているモノは、意味があって必要だから残っているわけで、だから新しいものに飛びつくのもいいけれど、古くから伝わるものに触れて感じるのもいいんじゃないかと思います。好きなものだけに触れるだけじゃ感性は育たないと思います。

空海劇場はできるだけたくさんの若い人にも見てほしいと願っているのはそういった意味もこめられています。歴史や文化、伝統芸能を難しく捉えず、まずは見て、何かを感じて欲しい。そして、興味、好奇心をもって欲しいと思っています。私もですが、グランドビジョンは好奇心旺盛な人が多く、イベントにもスタッフとして社員も積極的に関わっています。

好奇心ですか? どのように養っていけばよいでしょうか?

まずは心をニュートラルな状態にすること。つまり、好きとか嫌いとか、この仕事は向いてるとか向いてないとか、決めつけずにまずはチャレンジすることが大事だと思います。そして、会社というより、まずは身近な尊敬できる先輩から何かを学ぼうとか、色んな人の良い所(長所)を発見してく中で、色々な気づきを得ることで成長できると思います。

最後に、多くの環境で学んできた中尾さんの想いを。

才能というのは誰しも一つあるんです。足がやたら速いとか絶対音感であるとか暗記力があるとか。
では私にはどんな才能があるのか考えたとき、アイデア力と企画力だと思っています。
例えば、野球選手のイチローがあれほど有名になって名声もありお金もあるにも関わらず野球を続けるのは、野球が好きだからで、幸せを感じているからだと思います。私の場合、自分の好きな企画ができて才能が生かせる、プロとしてできることに幸せを感じているからこそ、ずっと続けていられます。

人ぞれぞれ才能はあるけれど、その才能は1%で、その1%の才能を開花するには、99%の努力が必要だと思っています。20 代の頃は仕事をしていてそれなりに楽しいと感じていたしがむしゃらに努力もしていました。ただ環境が変わっていく中で、勢いだけじゃなくてもっと勉強しなければと気づかされました。プレッシャーを感じていく中で言われたことをその通りするのが楽かなと思うこともあり、自信を失いかけたこともありますが、追い込まれても、1%でも自分を信じることができたため、結果的に成長でき、今につながっていると思います。あの時辛かったことも、そのおかげで才能が開花されて今があるので今ではとても感謝しています。

ただ、たくさん経験を積んでいたり、年齢が上だからといって偉いとは限りません。むしろ社会人も学生も、正社員も、パートさんも、同じ立場だと思っています。私は皆さんが育ってきた環境を経験していないわけですから。大事なことは就活とか結婚、転職のような大きな決断は自分にとって何が1番正しい選択なのか、です。そして大きな決断のために大事なのは、何気ない毎日の中にあります。いいものに触れるでもいいし、旅をするでもいいし、毎日の選択を自分の軸で決めることをしてほしいです。いつその瞬間が訪れるか分かりませんから。

「誰のためにするのか」という人に寄り添う視点があるからこそ中尾さんは、多くの事業を手掛け、誰もが働きやすい環境を作っているのですね。また、ご自身が鹿児島出身ということで、地域や文化を大切にする気持ちが伝わってきました。ありがとうございました。

 

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